望まない妊娠を避けるための避妊方法について、日本では長らくコンドームがその主流でしたが、ほぼ100%確実な避妊方法として、ピル(低用量ピル)という方法があるのをご存知でしょうか
欧米では昔から利用されているこのピルによる避妊方法、日本では副作用についての誤解から、長らく避妊方法としては日があたっていませんでしたが、ここ10年くらいの低用量ピルの普及により、ようやく広く認知されてきたようです。
そこで、本記事では、まだまだ認知度が低いと思われる低用量ピルによる避妊について、その効果と仕組み、副作用について解説し、低用量ピルを個人輸入により割安に購入する方法について、専門医が詳しく解説します。
目次
最も確実な避妊が可能な低用量ピルの効果と副作用、個人輸入での格安通販方法について解説します
一般的な避妊の方法とその効果について
妊娠の成立とは?
女性は通常、月に1回「排卵」をします。性交(セックス)をして、男性側の精子が女性側の卵子とタイミングよく「受精」して、そこから子宮内に「着床」すると、妊娠が成立します。
(加藤レディスクリニックホームページより 一部改変)
避妊をするには、上図の「排卵」か「受精」~「着床」のどこかを防げればいいということです。
避妊の方法とメリット・デメリット
まずは現状、婦人科で可能な避妊方法を解説します。ピルについては、後ほど詳しく説明します。同時に、特に低用量ピルと比較したデメリットについても解説します。
主な避妊方法と低用量ピルに対するデメリット
避妊方法名 (避妊失敗率) |
具体的な方法 | デメリット |
コンドーム (15%) |
ゴムの袋をペニスにかぶせて精液が腟の中に入るのを物理的に防ぐ | 破損や脱落、装着ミスがありうる。女性が主体的に行えない。性感が損なわれる。 |
子宮内避妊器具IUD(1%以下) | 子宮内に特殊な器具を挿入し、着床を阻害する | 排卵は抑制しないため子宮外妊娠は防げない。挿入と抜去は自分ではできない。感染のリスクが有る。 |
リズム法(オギノ式) (25%) |
月経周期から排卵日を予測する | 失敗のリスクが高い。厳密には避妊法とはいえない。 |
避妊手術(卵管結紮)(1%以下) | 卵管を結紮して、受精卵が物理的に子宮に入るのを防ぐ | 手術が必要。二度ともとに戻すことができない。 |
※失敗率は一般的な使用方法の場合
上の妊娠の説明図でいうと、コンドームは精子の子宮内(腟内)への流入を物理的に防ぐ方法、子宮内避妊器具は「着床」を物理的に防ぐ方法、避妊手術は卵管での受精卵の「移動」を物理的に防ぐ方法です。
一般に、排卵日に避妊をしなかった場合の妊娠率は30%程度と言われているので、上記のリズム法(オギノ式)については厳密には避妊法とはいえません。
上記の避妊法のうち、避妊手術(卵管結紮)は卵管については2度と元の状態には戻せません(※体外受精をすれば妊娠は可能です)。子宮内避妊器具IUDについてもクリニックで挿入・抜去する手間がかかります。コンドームはコンビニでも売っていますし、値段も安いですから、お手軽ではありますが、性感を損ねるという大きな欠点があります。
低用量ピルとは?
避妊方法のところで説明したように、ピル以外の避妊方法は物理的に受精を阻止したり、着床を阻止したりする方法のため、排卵は抑制されません。一方で、ピルの場合は、物理的な方法ではなく、ホルモンの調整により排卵そのものを抑制するため、理屈上妊娠はありえません。
低用量ピルは、確実な避妊法である上に、性感も損ねず、さらに以下のような副効用も報告されています。
低用量ピルの副効用(避妊効果以外の作用)
- 月経周期を整える(特に月経不順がある場合)
- 月経困難症(生理痛)の軽減
- 子宮がんや卵巣がんの抑制
特に、月経不順がある女性の場合、以前は漢方薬などもよく使われていましたが、最近ではまずは低用量ピルをすすめることが多くなりました。なんといっても月経のコントロールがほぼ確実にできる点が理由です。
結婚後、仕事やイベントまで計画的に内服して、やめてすぐに自然排卵周期あるいは排卵誘発剤で妊娠といったことや、女性アスリートの月経コントロールなどにも使用可能です。
それだけでなく、月経困難症(生理痛)が痛み止めでコントロールできない場合に、痛み止めと併用して生理痛を軽減することもよくあります。
低用量ピルはがんの抑制も含めた長期的な効果も期待されています。特に、卵巣がん、子宮内膜がん(子宮体がん)については、低用量ピルの長期服用により明らかに減少することが多数例の臨床研究で証明されています。大腸がんも減少するとされています。
乳がんについても心配をされる方が多いのですが、少なくとも、明らかに増加するという報告はありません。
低用量ピルを手に入れるには?
現状では、低用量ピルを内服する場合、クリニックを受診して問診等を受けてから、処方してもらうというのが一般的です。
通常、低用量ピルをクリニックで処方して貰う場合には、下記のような問診票と、必要であれば血液検査や超音波検査を行ったあとで処方されますが、通常は血液検査や超音波検査は省略されることが多いです。
OC-LEP 初回処方時問診チェックシート(画像をクリックすると拡大します)
また、高血圧、肥満(BMI>30)、高齢(>40歳)、喫煙(>15本/日)は慎重投与とされていますので、特にこの条件に当てはまる方は、まずはクリニックを受診して処方の可否を判断してもらうことをおすすめします。
基本的には、低用量ピルは非常に安全な薬です。また、数年単位で継続する方が多い薬です。そのため、継続的に内服する場合には、必ずしもクリニックで処方して貰う必要はなく、個人輸入で安価に入手する方が効率的と考えます。
女性は避妊について、受け身になりがちで、弱い立場にあります。自分の体を自分で守ることにもなりますので、低用量ピルの使用をおすすめします。
低用量ピルを安く入手する方法(個人輸入)
さて、普通にクリニックで処方されると保険の有無に関わらず、安くても2,000円以上(診察代もいれると、1ヶ月あたり、3,000円程度が一般的です)する低用量ピルですが、個人輸入するとその半分以下で購入可能です。
低用量ピルは非常に種類が豊富で、国内で販売されているものだけで10種類を超えています。個人輸入可能なピルもたくさんありますが、国内で販売実績があり、比較的安価なピルとして、以下のマーベロンをおすすめします。
値段は3ヶ月分であれば1ヶ月あたり、約900円程度です。21日タイプと28日タイプがありますが、成分や1ヶ月あたりのホルモンの総量は同様ですので、好みに応じて選んでください。
【21日タイプと28日タイプ】
低用量ピルには、一般に21日タイプと28日タイプがあります。両者の違いですが、28日タイプには、7日分の偽薬(薬の成分が入っていない錠剤:上のうす緑の錠剤です)が入っています。どちらも偽薬以外の白い錠剤21日分の成分は同様です。28日タイプは毎日飲むのを習慣にすることで薬の服用が忘れにくくなるようにするための工夫です。
【21日タイプ】
マーベロン(Marvelon)21錠x3シート(3ヶ月分) \2,872
マーベロンには、黄体ホルモン(プロゲストーゲン)と、卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類の女性ホルモンが含まれています。マーベロンは、定期的に服用することで妊娠を防ぐ薬です。
マーベロンには、黄体ホルモンであるデソゲストレルと、卵胞ホルモンであるエチニルエストラジオールの2種類の女性ホルモンが含まれています。これらの女性ホルモンを定期的に服用することにより、排卵に必要なホルモン(LH、FSH)の分泌量が減って、排卵が起こらなくなります。同時に、子宮頚管粘液の粘度を上昇させることで精子が子宮内へ入らないようにします。また、子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態にして妊娠を防ぎます。
(オオサカ堂ホームページより 一部改変)
【28日タイプ】
マーベロン28(Marvelon28) 1箱\977 3箱\2,738
マーベロン(Marvelon)は、2種類(卵胞ホルモン・黄体ホルモン)の女性ホルモンが配合されている錠剤21錠に、プラセボ(偽薬)7錠が付いた28錠の低用量ピルです。定期的に服用することで妊娠を防ぎます。
本剤は、卵胞ホルモンであるエストロゲンと、黄体ホルモンであるプロゲストーゲンの2種類の女性ホルモンが含まれています。これらの女性ホルモンを定期的に服用することで、排卵に必要なホルモンの分泌量を減らします。排卵を起こらなくすると同時に、子宮頸管粘液の粘度を上昇させて、精子が子宮内へ入らないようにしたり、子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態にすることで妊娠を防ぎます。
優れた避妊効果が期待できるマーベロンは、服用終了後の月経回復が速やかな低用量ピルです。1相性ピルで、1周期(21日間)服用する錠剤のホルモン含有量が一定です。そのため、服用法が簡単で、飲み違えるなどのわずらわしさがありません。
(オオサカ堂ホームページより 一部改変)
※個人輸入の場合、一般に申込みから到着まで最速で一週間程度はかかります。御理解の上、月経周期に合わせて、計画的にご注文ください。
低用量ピルの具体的な使用方法
使用方法は以下のように簡単です(マーベロンで説明します)。
月経開始の初日か2日目の曜日から21日間、毎日1錠飲みます。すべて同じ成分ですので、どこから飲み始めても大丈夫です。1シート飲み終わると、2-4日くらいで月経が来ます。2シート目以降も同様に月経の1~2日目から開始します。
月経開始の初日か2日目、「スタート」から毎日1錠飲みます。緑玉に入ると数日で月経が来ます。月経が終了するしないに関わらず、引き続き次のシートをスタートから飲み続けます。
どの低用量ピルも、21日タイプであれば21日間飲んで次の生理が始まるまで休薬、28日タイプであれば飲み続けるだけです。
ホルモン剤は予定を決めたら毎日継続して飲むことが非常に大切です。薬を止めると避妊の効果がなくなる可能性があるだけではなく、不正出血が来ることがあり、予定通りにいかなくなることがあります。この点は十分にご注意ください。
ピルを飲んでいて不正出血が来たり、妊娠したりするのはほぼ飲み忘れが原因です。
万が一、ピルを内服したにも関わらず、月経が予定より7日以上遅れる、あるいは通常の月経より量が少ないなどの場合には、妊娠の可能性について医療機関を受診して確認してください。
低用量ピルの副作用について
ピルに関する誤解で最も多いのが、副作用があるのではないかという点です。実際には、副作用はないと思っていただいて結構です。
昔の高用量ピルや中用量ピルといわれるピルとは異なり、低用量ピルは成分のホルモン量が生理的なホルモンの量より低く抑えられていますので、理屈上も副作用が起こる可能性は低いと考えられます。
ときに軽度の吐き気など消化器症状を訴える方がいますが、すぐに慣れてくるようです。肝機能障害を心配する方もいらっしゃいますが、クリニックでの定期的な肝機能検査でピルによる肝機能障害を認める人はほぼいません。
なお、注意しなくては行けないのは血栓症です。極めてまれですが、静脈血栓塞栓症のリスクが増大することが重大なリスクとして知られており、以下の「警告兆候」が現れたら直ちに中止してください。(増加と言っても、ピル非使用の場合1~5/10000婦人・年間のところ、3~9/10000に増加する程度です)。また、管理人の経験では、ピルが原因で血栓塞栓症になった方は経験したことも聞いたこともありません。
深部静脈血栓症を疑う症状
激しい腹痛
激しい胸痛
激しい頭痛
視野の障害や意識障害
ふくらはぎの痛み
大規模な研究では、低用量ピルの長期服用では死亡率には変化がないあるいは低くなることが証明されており、長期的な安全性には問題ありません。
また、副作用ではありませんが、コンドームを使用していない性交渉は、性感染
なお、授乳中の内服も問題ありませんし、授乳を続けても大丈夫です。
ピルの誤解でよくあるのが「太る」のではないかということですが、こちらについても大規模な臨床試験で、体重には影響がないことが証明されています。
低用量ピルの効果、副作用、入手方法まとめ
- 低用量ピルは、正しい服用方法で、ほぼ確実に避妊が可能です。性感も損ねません。
- 低用量ピルには、避妊効果の他に、月経周期を整えたり、生理痛を抑制したり、子宮がん・卵巣がんを抑制するなどの副効用があります。
- 低用量ピルの入手方法には、クリニックを受診して処方してもらう方法と、個人輸入する方法があります。
- マーベロン(Marvelon)は個人輸入で安く購入可能です。
- 低用量ピルは、避妊法として最もおすすめします。
低用量ピルは、正しく内服することで効果を発揮する薬です。飲み忘れがないように、十分にご注意ください。万一、
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