月経は性成熟期の女性がずっと付き合って行かなくてはならない月1回のイベントです。
普段はそれほど気にならなくても、旅行やイベントなどの際に月経とあたっていると、いろいろ不便が生じることがあります。
また、最近では女性アスリートが、体調管理や大会との日程調整のため、月経のコントロールをしたいという要望が婦人科外来で増えています。
なんとなく、ホルモン剤というと怖い感じがしますが、現在主に使用されている低用量ピル等は非常に安全な薬剤です。
これら薬剤の入手が容易になった現在では、自分の月経やホルモン状態は自分で把握して自分でコントロールしていいものと考えます。
原理は簡単です!是非、理屈を知って、自分で自分の月経をコントロールできるようにしてください!
この記事では、主に個人輸入可能なピルを含むホルモン剤を使用した、月経のずらし方、コントロール方法について、産婦人科専門医が解説します。
個人輸入と言うと費用も掛かりそうですが、クリニックで処方する薬より一般に個人輸入のほうが割安ですし、なるべく割安で効果的な薬を紹介していますのでご安心ください。
目次
個人輸入可能な薬を使用した、生理のずらし方、月経のコントロール方法について、産婦人科専門医が解説します
月経が起こるメカニズム
女性ホルモンは卵巣からでます。卵巣から出たホルモンが子宮に作用して、月経が起こります。
月経は、子宮に作用するホルモンが無くなることでおこります。
(ヨミドクタープラスより、一部改変)
上の図では、右端の28日目でエストロゲンと黄体ホルモン(プロゲステロン)が急激に下がっているのがわかります。この直後から月経が始まり、月経期の間はホルモン量は低いままです。
そしてこの理屈が、ピルを含めたホルモン剤で月経がおこる根拠になっています。
卵巣からホルモンがでるでないに関わらず、排卵の有無に関わらず、子宮に対する、ホルモンの刺激量を調整すると月経のコントロールが可能です。
例えば、最近多く使われるようになってきた避妊用の低用量ピルは、擬似的に、上記のホルモン動態と同じ状態を作り出して、月経を起こします。
つまり、一定期間持続的にホルモン量を保ってから、ホルモンをなくせば、月経が来ます。
ピルを飲んでいれば卵巣から排卵はしませんが、排卵の有無は月経の有無とは関係ありません。
女性アスリートと月経のコントロール
さて、本題に入る前に、最近話題になっているアスリートと月経について解説します。
近年、女性アスリートと月経についていろいろなことがわかってきました。
例えば体操などの審美系あるいは特に持久系の陸上競技などでは、一般に体重が少ないほうが成績が向上することが多いため、体重減少(相対的エネルギー不足といいます)による無月経や疲労骨折が問題となっています。
一方で、月経が正常にきている女性でも、月経前症候群や月経痛などのため、実力を発揮できないといった問題があります。
さらに最近は、月経周期自体と競技成績に関係があることがわかってきました。
詳細は省きますが、どうも月経期には筋力や敏捷性が若干落ちるという研究結果が増えています。
現状、月経周期と競技成績の関係については、関係ないとする報告もありますが、少しでも成績をあげたいアスリートのみなさんにとっては、月経のコントロールは十分に検討する価値があるものと思います。
以下では、月経コントロールの具体的な方法について解説します。
具体的な月経のずらし方
さて、ここからが本題です。
ホルモン剤は予定を決めたら毎日継続して飲むことが非常に大切です。
上でも述べましたが、薬がなくなると出血がきますので、飲み忘れると、予定通りにいかなくなることがあります。この点は十分にご注意ください。
ピルを飲んでいて不正出血が来たり、妊娠したりするのはほぼ飲み忘れが原因です。
予定の立て方と具体的な薬の服用方法について解説しますが、その前に薬について説明します。
月経のコントロールをする際に利用するホルモン剤について
月経のコントロールには以下のホルモン剤を使用します。市販の薬局では売っていません。個人輸入で購入可能です。
Ovral Gは、黄体・卵胞ホルモン配合剤です。有効成分のノルゲストレルとエチニルエストラジオールを含有しています。
Ovral Gは、女性ホルモンの卵胞ホルモンと黄体ホルモンの配合剤です。女性ホルモンの低下やホルモンバランスがくずれておこる生理不順、無月経などの時、生理のリズムを取り戻したり、月経以外の出血を抑えたりします。
強い黄体ホルモン作用を有するノルゲストレルを含有したOvral Gは、月経困難症、月経周期異常、過多月経、子宮内膜症、機能性子宮出血に特に効果を発揮します。
(オオサカ堂ホームページより)
[プラノバールジェネリック]オブラルG(OvralG)は、いわゆる中用量ピルと呼ばれる薬で、エストロゲンとプロゲステロンの合剤です。
月経の周期が規則的な方の場合は、月経のコントロールにはこの薬のみ使用します(月経不順がある方の場合は後ほど説明します)。
値段は1箱20錠で826円(送料込み)と格安です。まずはこの薬を入手しておきましょう。上記の画像・テキストリンクまたはこちらのリンクから購入可能です。
ちなみに、上記以外のホルモン剤でも月経コントロールに使える薬はありますが、エストロゲンだけ、あるいはプロゲステロンだけの成分のホルモン剤では月経をコントロールすることは不可能ですので、かならずエストロゲンとプロゲステロン両方の成分が入っていることを確認してから購入してください。
生理をずらす方法
月経をずらす方法は2通りあり、「前にずらす」方法と「後ろにずらす」方法があります
前にずらす方法
本来の月経より1週間程度前に月経をずらす方法です。イベントまでの日にちに余裕があることが必要です。
【モデルケース】月経周期28日周期の方、月経が8月1日からだったが、8月30日から旅行にいくため、前にずらしたい。この場合は、8月5日から14日間オブラルGを内服します。すると、月経が8月21日ころから来て、8月27日ころに終了して、旅行前には完全に終わっているという状態です。
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月経 薬 イベント
一定期間(10~14日)薬を飲んで、やめればその日から2-4日後に月経が来ます
後ろにずらす方法
月経をイベントが終了するまで遅らせる方法です。月経までの日にちに余裕がなくても可能な方法です。
【モデルケース】今月の月経が8月15日から始まる予定だが、旅行が8月16日から8月20日までのため、後ろにずらしたい。この場合、8月10日から旅行終了日(8月20日)までオブラルGを内服します。すると、旅行終了後2-4日程度で月経が来ます。
薬をやめればその日から2-4日後に月経が来ます
前と後ろどちらにずらすのがおすすめ?
前にずらす方法、後ろにずらす方法、どちらも一長一短あります。
前にずらすメリット
- 月経が終了してからイベントを迎えるため体が楽
- 月経不順があってもある程度対応可能
- 海外旅行等の場合も飲み忘れが少ない(時差があると飲み忘れることがあるため)
前にずらすデメリット
- 月経まで時間的余裕がないとできない
- 月経が予定通り来なかったり、月経が長引いたりしてイベントにかかる可能性がある
- あらかじめ予定を決める必要があるため、飲み方をしっかり理解していなくてはいけない
後ろにずらすメリット
- イベントまで時間的余裕がなくても対応可能
- イベント終了までほぼ確実に月経を止められる
- 内服の予定が立てやすい
後ろにずらすデメリット
- 月経前の不快な感じが続くことがある
- 月経不順があると、うまく行かないことがある
- 時差があると、飲み忘れる可能性がある
後ろにずらす方は、直前でも対応できるというのが最大のメリットですね!可能であれば、何度か自分で試してみて、各自にあった方法が見つかるといいですね^^
月経不順があると、次回の月経日が読めないため、上記の月経コントロールがうまく行かない場合があります。
生理をずらすこととは関係なく、月経不順自体が体にとってはあまりよくない状態ですので、低用量ピルであらかじめ月経の周期を整えておくことをお勧めします。
女性にとって月経は、目に見えない血中のホルモン状態を推測する目安になります。特に、激しい運動やダイエットのため月経が止まっている女性の場合、血中の女性ホルモン量が大きく減少している可能性があります。そのような場合には、低用量ピルを使用して最低限のホルモン量を補充する方法は女性アスリートの三主徴(利用可能エネルギー不足、運動性無月経、骨粗鬆症)のような状態を解消するために、大きな意義があると思います。
低用量ピルを使用して、月経の周期を一定にする
特に月経不順がある女性の場合には、上記の月経のずらし方がうまく行かない場合があります。
もともとは避妊用として商品化されたピルですが、現在では、月経不順や無月経の治療薬として広く使用されています。
月経不順の場合にピルを利用するメリット
- ほぼ確実にかつ規則正しく月経が来る
- 目に見えないホルモン状態を正常の状態に近づけることができる
- 避妊効果が確実
特に若い方の月経不順の治療には、ピルは圧倒的におすすめできます。理由は、効果が確実なためです。
一方で、デメリットはほぼありません(飲む手間があることくらいでしょうか、あとで説明しますが副作用もほぼありません)。
このピルですが、わざわざクリニックに出向かなくても、個人輸入で割安で購入可能です。
現在日本でも普及しているマーベロンをお勧めします。21日タイプ(休薬7日)と28日タイプ(休薬なし)があります。
マーベロン21(Marvelon) 1箱(3か月分)2,859円マーベロンは、1相性の経口避妊薬です。有効成分としてデソゲストレルとエチニルエストラジオールとを含有しています。第三世代低用量ピルです。マーベロンには、黄体ホルモン(プロゲストーゲン)と、卵胞ホルモン(エストロゲン)の2種類の女性ホルモンが含まれています。マーベロンは、定期的に服用することで妊娠を防ぐ薬です。マーベロンには、黄体ホルモンであるデソゲストレルと、卵胞ホルモンであるエチニルエストラジオールの2種類の女性ホルモンが含まれています。これらの女性ホルモンを定期的に服用することにより、排卵に必要なホルモン(LH、FSH)の分泌量が減って、排卵が起こらなくなります。同時に、子宮頚管粘液の粘度を上昇させることで精子が子宮内へ入らないようにします。また、子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態にして妊娠を防ぎます。
(オオサカ堂ホームページより)
マーベロン28(Marvelon28) 1箱973円 3箱2,725円
マーベロン(Marvelon)は、2種類(卵胞ホルモン・黄体ホルモン)の女性ホルモンが配合されている錠剤21錠に、プラセボ(偽薬)7錠が付いた28錠の低用量ピルです。定期的に服用することで妊娠を防ぎます。
本剤は、卵胞ホルモンであるエストロゲンと、黄体ホルモンであるプロゲストーゲンの2種類の女性ホルモンが含まれています。これらの女性ホルモンを定期的に服用することで、排卵に必要なホルモンの分泌量を減らします。排卵を起こらなくすると同時に、子宮頸管粘液の粘度を上昇させて、精子が子宮内へ入らないようにしたり、子宮内膜を受精卵が着床しにくい状態にすることで妊娠を防ぎます。
優れた避妊効果が期待できるマーベロンは、服用終了後の月経回復が速やかな低用量ピルです。1相性ピルで、1周期(21日間)服用する錠剤のホルモン含有量が一定です。そのため、服用法が簡単で、飲み違えるなどのわずらわしさがありません。
(オオサカ堂ホームページより)
低用量ピルには、同じ名前でも21日内服タイプと28日内服タイプというのがある場合がありますが、不思議なことに、月経のサイクルは同じです。
これは、28日タイプのうち、21日分は21日タイプと同じホルモン剤で、のこりの7日分は偽薬(なにも薬剤が入っていない、ただの錠剤)だからです。毎日薬を飲んだほうが忘れないからいい、っていう方のために、偽薬をいれた28日タイプがあるんですね。
ちなみに、低用量ピルの種類には一相性~三相性や含まれるホルモンの種類などが若干違いますが、いずれも体内ではほぼ同様に作用します。この部分は特に気にする必要はありません。
普通にクリニックで処方されると、保険が効いても効かなくても2,000円は超えますし、受診料を含めると4,000円前後になります。上記の個人輸入ではどちらも1ヶ月あたり1,000円未満ですので、飲み続ける場合には、検討する価値は十分にあると思います。
ピルの副作用について
かつて(約30年前)のピルは、アメリカから輸入された高用量ピルと呼ばれるピルで、肝機能障害などの副作用が起こったと言われています。
一方で、上記のオブラルGは中容量ピルと呼ばれ、ホルモン量がほぼ正常女性の生理的な濃度と同様の血中濃度になるように設計されています。
また、低用量ピルに至っては、生理的な血中濃度より低くなるようなホルモン量しか入っていません。
結果として、実際に使用している感想では、ほぼ副作用はないと言ってもいいと思います。オブラルGについては、吐き気を訴える方が時々いらっしゃいますが、数日飲んでいると気にならなくなるようですので、しばらく飲んでみることをお勧めします。
なお、一応掲載しますと、オオサカ堂のホームページには、
エストロゲン作用(乳房が痛む、しこりがある、吐き気、頭痛、生理時以外に出血がある)
アンドロゲン作用(にきび、多毛、体重増加)
下痢
血栓症(下肢の痛みや浮腫、激しい頭痛、嘔吐、吐き気、めまい)などの症状が現れる場合があります。
と書かれていますが、このうち極めて頻度は低いものの、血栓症については、念の為十分に注意してください。上記に記載の症状があった場合には近医受診をお勧めします。
生理をずらす!月経のコントロール方法 まとめ
- 一定期間持続的に保たれたホルモン量がなくなると月経が来ます。つまり、一定期間内服したピルをやめると月経が来ます。
- 月経をずらすには前にずらす方法と後ろにずらす方法があります。
- 月経をずらすための薬(オブラルG)は割安に個人輸入可能です。
- 月経不順等がある場合には、低用量ピルを使って月経周期を整えておくことをお勧めします
- 副作用についても解説しています
本記事が月経のコントロールに役立てば嬉しいです^^。
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