AGA(若年性脱毛)に対する画期的な薬として一躍メジャーになったフィナステリド(デュタステリド)の内服AGA治療剤(プロペシアやフィンペシアなど)ですが、特に内服薬では、うつ病や性機能に対する副作用が懸念されています。
特にポストフィナステリド症候群(PFS)と呼ばれる、服用中止後も続くと言われる副作用はこれからプロペシアを始めようという方にとっては最も怖い副作用と思われます。
そこで、実際のところはどうなのか、医師である管理人が、最新の欧米レビュー論文を読み解いて、解説します。
なお、管理人は実際にミノキシジルとフィナステリドを含有した外用薬を使用しています。以下の記事にレビューを書いていますので、興味のある方は是非御覧ください。
目次
発毛剤プロペシア フィンペシア デュタステリドによる副作用 ポストフィナステリド症候群についての最新の知見について、医師である管理人が解説します
はじめに、フィナステリドの一般的な副作用およびポストフィナステリド症候群について簡単にまとめ、その後最新の知見について解説します。
ポストフィナステリド症候群(PFS)とは
PFS(Post-finasteride sydrome)とは、副作用のためプロペシアの服用を止めた場合に、しばらくしてから再度症状があわられてくると言われている後遺症のことです。
従来、フィナステリドの主な副作用としては
- 皮膚の過敏症(蕁麻疹など)
- 肝機能障害
- 抑うつ症状
- リビドー減退や精液量減少などの性機能不全
- 女性化乳房
などが挙げられていました。下3つについては、重大な副作用ではあるものの、頻度はそれほど高くない(1%程度)とされていました。
一方で、2010年ころから、フィナステリドの特異的な副作用としてポストフィナステリド症候群(PFS)と呼ばれる病態が指摘されてきました。
具体的には、以下のような症状経過をたどると言われています。
- プロペシアの服用を止めて10~20日以内にいったん副作用がおさまる。
- 服用を止めて数週間~数ヵ月後にテストステロン(男性ホルモン)、LH、FSH(いずれも性腺刺激ホルモン)が急激に低下する。
- それに伴って、勃起不全(ED)や性器の萎縮等の性的症状、うつや思考の低下等の精神的症状、女性化乳房や倦怠感等の体に関する症状が出現する。
PFSの怖いところは、薬をやめてから症状が出現し、それが長期間に渡り持続する点、有効な対処法が見いだされていない点にあるとされています。
しかしながら、欧米でも大規模で正確な比較試験は少なく、まして日本ではまともな臨床試験は皆無で、体験談レベルの情報がウェブ上で散見されるに過ぎません。
一方で、クリニックレベルでは、副作用等の検証もなく、日常的にフィナステリドが処方されており、なんらかの副作用が出たときのフォローアップ体制が十分とは言えないのが現状です。
BMJに掲載されたポストフィナステリド症候群についての解説
今回解説するのは、Pubmedという米国の医学論文検索システムでおすすめのレビューとして紹介されていた。BMJというイギリスの権威ある学術誌に2019年掲載された下記のレビューです。
BMJは、以下に記載の通り、EBM(Evidence based medicine:証拠に基づいた医学)と呼ばれ、現在臨床医学研究では主流になっている、過去の検証に基づいた正確な情報の提供を行う雑誌とされています。
BMJとは、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(イギリス医師会雑誌:British Medical Journal)の略称で、1988年からBMJが正式名称となっているイギリスの医学誌である。British Medical Associationが監修し、BMJ Groupから発行されている。BMJ Groupからは他にも24種類の医学専門雑誌が発行されている。 国際的にも権威が高く日本でも医師であれば必ず読んでおくべき雑誌と言われている。 世界五大医学雑誌などと呼ばれる代表的な医学専門誌の一つである。
(Wikipediaより)
今回の論文のタイトルは、
ポストフィナステリド症候群~長期的データが足りないことから、この副作用について一貫した説明ができなくなっている~
というものです。タイトルからは、PFSに対して否定的な内容が推測されますね。
以下、重要と思われる部分のみ抜粋してあります。こちらのサイトから全文にアクセスできます(ただし、アクセス可能な施設は契約している大学等に限られます)。
2016年からの複数の大規模な研究において、フィナステリドの副作用として
- うつ病
- 2型糖尿病
- 女性化乳房
が証明された。一方で自殺や性機能障害については関係が証明されなかった。ただし、これらの研究では、フィナステリド中止後の副作用(ポストフィナステリド症候群)については検討されていない。
持続的な性機能障害についての臨床研究は少ないが、4年間に渡る二重盲検比較試験(最も厳密な臨床研究とされている試験)では、服用中止後、6ヶ月後も持続する性機能障害はむしろプラセボ(偽薬)のグループに多かった。つまり、フィナステリドは性機能障害とは関与していないと考えられる。
フィナステリド類の服用を中止した11,909人を対象とした研究では、90日以上続く性機能障害は1.4%に認められたに過ぎない。ただし、服用していないグループとの比較がないため、この頻度が、一般の頻度より高いかどうかは不明である。フィナステリド類を服用した期間が長いほど、性機能障害の頻度が上昇していた。
上記をまとめると
- フィナステリドの副作用として、うつ病、2型糖尿病、女性化乳房が証明された
- 性機能障害は、背景のグループと差がなかった(むしろ少し低下していた)
- 長期のフォローアップでも、性機能障害はみられなかった
- 今後はさらに厳密な比較試験が必要である
つまり、内服のフィナステリドには副作用としてうつ病が起こりやすいってことです。
性機能障害については一般の頻度と差がないって言われても、うつ病になりやすいって言われるとやっぱり内服薬は心配ですよね。そこで、管理人のおすすめは、以下で説明している外用の発毛剤の併用です。
個人的な経験(下の「合わせて読みたい」に書いています)からも、発毛剤で十分に効果があると思っていますので、内服薬が怖い方は、是非ご検討ください。
ミノキシジルとデュタステリドを含む外用発毛剤 リグロースラボM5とD5αの購入方法(個人輸入)
ミノキシジル5%含有外用発毛剤リグロースラボM5
ミノキシジル5%配合といえば、リアップが思い浮かびます。リアップは日本製ということで、安心ではあるのですが、非常に高価(1本約7,000円程度)です。
下記のリグロースラボM5は、リアップと同様のミノキシジル5%含有の外用薬です。個人輸入で、リアップの半額以下で購入が可能です。
髪・頭皮のメカニズムを紐解き、毛髪にまつわる悩みを解決するRegrowth Labs(リグロースラボ)から、ミノキシジル5%の育毛剤が登場です。
M5は、リアップX5プラスと同じ有効成分のミノキシジルを5%含有した育毛剤です。痒みの原因となるプロピレングリコール(PG)を使用していないので、頭皮へやさしい処方となっています。
ミノキシジル 5%
日本で唯一、壮年性脱毛症への発毛効果が認められている成分です。既に始まってしまった脱毛の進行を予防するだけでなく、発毛の効果もあります。毛細血管を拡張させ、頭皮の血行を促すとともに、毛母細胞へ直接働きかけることで、毛周期における成長期を延長させます。
◆用法
1回2プッシュ(1mL)を1日2回、毛が薄くなったり、細くなったりしている部位へ塗布する。
その後、2~4分間、頭皮をマッサージする。
(オオサカ堂ホームページより)
デュタステリド5%含有外用発毛剤リグロースラボD5α
リグロースラボD5αはデュタステリド5%を含有した外用の発毛剤です。抗アンドロゲン作用により、脱毛を抑制します。
リアップと異なり、同様の作用機序の外用薬は国内では販売されていませんが、ミノキシジルとは異なる作用であることから、併用により効果が期待できます。
こちらはミノキシジル外用薬(リグロースラボM5)より値段が高めですが、以下から個人輸入可能です。
髪・頭皮のメカニズムを紐解き、毛髪にまつわる悩みを解決するRegrowth Labs(リグロースラボ)から、デュタステリド配合の育毛剤が登場です。
D5αは、アボルブやザガーロと同じ有効成分のデュタステリドを含有した育毛剤です。デュタステリド以外にも、アゼライン酸、Trichogen™ブレンドが髪の成長を後押しします。痒みの原因となるプロピレングリコール(PG)を使用していないので、頭皮へやさしい処方となっています。
デュタステリド
男性型脱毛症(AGA)治療薬のザガーロカプセルと同じ有効成分です。Ⅰ型およびⅡ型の5α-還元酵素を阻害することで、活性型アンドロゲンのジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑えます。
アゼライン酸
毛根中の毛乳頭細胞にある5α-還元酵素の働きを阻害し、男性ホルモンであるテストステロンが、脱毛症の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)へと変化するのを抑制し、髪の毛が薄くなるのを防ぎます。
Trichogen™
細胞代謝を刺激しながら、髪質を強化して、毛髪の表面を修復します。ケラチンへの吸着性が良好で、持続性があります。特に後頭部で有用な育毛ブレンドです。
◆用法
1回2プッシュ(1mL)を1日2回、毛が薄くなったり、細くなったりしている部位へ塗布する。その後、2~4分間、頭皮をマッサージする。
(オオサカ堂ホームページより)
※個人輸入の場合、申込みから到着まで最速で一週間程度はかかります。御理解の上、ご自身の状態を考慮して、計画的にご注文ください。
外用発毛剤の副作用について
外用の発毛剤は、内服と比べて、血中濃度がはるかに抑えられることから、副作用の発現頻度は低くなると考えられますが、念の為副作用には十分にご注意ください(特に高濃度ミノキシジルは不整脈の発現頻度が高いようです)
ミノキシジルは血管拡張薬であることから、血圧低下や、不整脈などの副作用があることが知られています。内服に比べると、副作用の頻度は低いですが、可能であれば濃度が低めのものを使用するのが良いでしょう。
フィナステリドの副作用は上記のとおりです。外用であればやはり血中濃度はかなり低く抑えられるため、副作用の頻度は低いものと考えられますが、同様の副作用が出現する可能性はあります。
発毛剤プロペシア デュタステリドによる副作用 ポストフィナステリド症候群は本当にあるのか?まとめ
フィナステリドの副作用まとめ
- フィナステリドの副作用として、うつ病、2型糖尿病、女性化乳房が証明された
- 性機能障害は、背景のグループと差がなかった(むしろ少し低下していた)
- 長期のフォローアップでも、性機能障害はみられなかった
- 今後はさらに厳密な比較試験が必要である
個人的なおすすめは、内服ではなく外用ですよ^^。さらに、薬効から考えて、併用がおすすめです。副作用を抑えつつ、十分効果があります。実際の効果は、以下の記事に写真入りで掲載しています^^。
本記事が、私と同様に薄毛に悩む方々のお役に立てば嬉しいです^^。
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